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Fri 04/04/2008

 Thomas Beatie氏(妊娠FTM)が『Oprah』に出演 

日本でもちょっとニュースになった、オレゴン在住のFTM、Thomas Beatie氏の妊娠騒動↓
性転換した「男性」が妊娠!? 人気TV番組に出演へ (iza)

この「人気TV番組」は、Oprah Winfreyって人がホストの『Oprah』(多分正式には『The Oprah Winfrey Show』。いずれにせよそのまんまだけどね)っていう昼間のトークショーで、まあ主婦層がターゲット。

これが昨日放送だったんだけど、早速YouTubeに映像がUPされてた。
消されるかもしれないので、お早めにお召し上がりください↓



*UPDATE*
↑ YouTubeの動画、やっぱり消された。
Oprahの公式サイトで、出演時の写真と短いクリップ(超音波受けてるとこ)が見られます。
First TV Interview: The Pregnant Man - The Oprah Winfrey Show
個人的にはこの手の番組は安っぽいお涙頂戴やらいい人ぶりやら無責任なデマ垂れ流しやら、反吐が出そうな内容が多いから、普段は全く観る事は無いんだけど、放送の時たまたま家にいたので観てみた。

このBeatieさん本人による記事が『The Advocate』(LGBT系雑誌)に写真入りで登場してからというもの、一般のメディアがこぞって報じたため、あちこちで議論が沸き起こってるわけだけど、本人はこのTV出演(録画だけど)まで沈黙を守ってきたので、いろいろその動機を推測してあーだこーだと言う前に、本人の口から聞きたいなあ、と思いまして。


そもそも、彼の話についてはFTM当事者も含め色々と意見が飛び交ってたけど、この件についてはまず大きく分けて二つの全く違う論点が混ざってゴチャゴチャに議論されてる気がする。
その主な論点とは、

①トランジション後のFTMによる妊娠・出産の是非
②妊娠したFTMがメディアに出ることの是非

じゃないかと。

②は、メディアに出ることの動機が何なのかによって、Beatie氏に対する評価は分かれるかも知れないね。
単なる目立ちたがりなのか、何らかの利益を得ようとしてるのか、FTMコミュニティーのために良かれと思ってのことなのか、それとも他に致し方ない理由でもあるのか。
こればかりは、本人に訊かないと分からない(直接訊かなくても、もっと話を聞けば推測はできると思うけど)。
あとは、プレゼンテーションも問題になるよね。自分がまるでFTMを代表する人間であるかのような口調で喋られると実際に迷惑な場合もあるけど(間違った情報を垂れ流すことになる可能性もあるから)、あくまで個人であることを主張してくれればダメージ(があるとすれば)は緩和されるだろうし。
妊娠の有無に関わらず、感じの悪い人が出るとほかのFTMからは疎まれるよね(笑)。
でもまあ、メディアに出ること自体は本人の自由だし、それを批判するのも自由。
個人的には、動機の部分が『The Advocate』の記事からだけではよく分からなかったので、TV出演を見てみようという気になったんだけどさ。


で、①なんだけど、これは更に

(A) FTMのアイデンティティー上の問題
(B) 生まれてくる子供の医学的・精神的な問題

の二つに分かれるんじゃないかな。


(B)に関しては、現段階ではある程度想像で判断するしか無いけど、データが揃えば是非はハッキリする話だよね。

でもまあ少なくとも、トランジション後に一時的にテストステロン治療を中止して、メスとして正常なホルモンレベルと排卵サイクルが戻ってから妊娠・出産する、というのはBeatie氏が初めてではないみたいだし、産婦人科医が血液検査や超音波診断などでチェックしてるわけなので、素人があれこれ憶測してダメだと思っても、実際に正常な妊娠・出産が出来てるのであれば問題無いわけでしょ。

「生まれてくる子供が可哀相」、というのは、そういうこと言う人がいるから可哀相なだけで、これだけ切望されて生まれてくるんだから、少なくとも親は可能な限り一生懸命育てるんじゃないかと思うよ。「変人」は子供を持つな、なんて言う権利は誰にも無いんじゃないのかな。それ言ったら、貧乏人、不細工、同性愛者 etc. は子供作るな、ってのと同じじゃない?こういうこと言う人を見ると、そういうお前はどれだけ立派な人間なんだよ、と思ってしまう。


(A)は良いか悪いかという問題よりも、価値観・世界観の問題なので、ちょっと複雑。

「本当に男だったら妊娠・出産なんて絶対にしたくないはずだ」っていう主張がよく聞かれるけど、「オスだったら妊娠・出産しない」という意味ならトートロジー。FTMが生物学上オスだなんて誰も言っちゃいない。これは「男が妊娠」って報道したメディアの責任。
「性同一性が男だったら・・・」という主張の場合でも、現在の医学では生得男性が妊娠・出産できないわけだから、「男じゃない証拠」としては極めて弱い。だってさ、もしそれが可能になったら、何らかの理由で利用する生得男性は出てくると思うんだよね。Beatie夫妻のように、奥さんが子宮摘出手術を受けていて妊娠出来ないけど、どうしてもカップルで血の繋がった子供が欲しいと思ったら、意を決して妊娠する旦那はいるんじゃないかな。

それから、妊娠・出産っていうのは、一度「やろう」と決めたらもうあとはほぼ自動的なプロセスなわけだから、必ずしも本人のアイデンティティーに関わるとは限らないんじゃないかと思うんだよね。これも想像の世界の話だけど、仮に何らかの理由で生得男性が妊娠したとしても、妊娠していること自体が本人の性同一性を揺るがすかなあ、と考えた時、奇妙な気はしても、言動が女っぽくなったり女性としての自我が目覚めたり、なんてことは考えにくいんじゃないかな。実際、Beatie氏も「妊娠はしていても自分は100%男だと感じる」と言ってるし、それが率直な感覚なんじゃないかと思う。

そんなに子供が欲しけりゃ、自分が妊娠しなくたって養子を貰うとか代理母を使うとかあるじゃないか、という意見もあるかも知れないけど、どっちも費用の面でも法的な面でも自分で産むのと比べると相当複雑で大変みたいだから、もし自分で産むことが出来るならそうしよう、と思うのは合理的かと。


まあでも、「性転換した男が妊娠」って言われたら、無知な非当事者の直感的な反応が「男じゃないじゃん」というのは理解できる(生物学的なオスと、性同一性としての男性を混同してるわけで)。
そういう一般大衆の反応があることが分かってるので、直感的に「一緒にされたくない」とBeatie氏の男性としてのアイデンティティーを否定するFTMも少なくないことも、理解できなくもない。
けど当事者には、その直感的な拒絶反応に身を委ねずに、一歩下がって分析して欲しいなあ、と思うんだよね、個人的には。
理解の無い大衆の生理的な拒絶反応のために苦しめられてきたマイノリティーとしては、自分の持つ拒絶反応を正当化するんじゃなく、具体的に何が気に食わないのか、そして正当な理由があるのかどうかを冷静に分析する責任があると思うよ。そうじゃないと、偽善者になりかねないからねえ。

・・・な~んてまたエラそうなこと言ってますけど。


えらく前置きが長くなってしまったが、肝心の(?)番組はというと・・・

司会者のOprahはBeatie夫妻にかなり好意的で、あんまり突っ込んだ質問はせず、全体的にかなりユル~い内容だった。
カメラは夫妻のお家にお邪魔してみたり、超音波検査に同行してみたり、「ほら、こんなにフツウでしょ?」って感じをアピール。
Beatieさん自身は物腰の柔らかい優しそうな人で、割と好印象なんじゃないかな。
もしかしてFTMが妊娠・出産する権利を求めるアクティヴィストになりたいのか?なんて憶測もしてたんだけど、そういう印象は全然受けなかった。
ただ自分達の子供が欲しいみたい。

彼はハワイ出身で、父親がアジア人、母親が白人。
12歳の時に母親が自殺して、男兄弟二人とともに父親に育てられたそうな。
10代後半にはミスコンで入賞したこともあったみたい。
大学時代にレズビアンとしてカムアウト(同性愛者の民権運動にも活発に関わってたらしい)。
24歳の時からトランジション開始。
内摘を受けなかったのは、将来何らかの方法で自分の子供を作る可能性を残しておきたかったから。
身体に対する違和感はそれほど強烈ではなかったけど社会的性別が男性、というアイデンティティーらしいので、狭義のトランスセクシャルでは無いんだろうね。

あと、奥さんが重症の子宮内膜症の治療のために子宮摘出手術を受けていて子供が出来ない、というのはホントなんだけど、奥さんは結構年上みたいで、もう成人してるお嬢さんが二人いるのだった(二人も観客席から出演)。

ただ、「不純な動機」と思われる点が一つ:彼は、近々自叙伝を出版する予定らしいんだな~、これが。
あ~、これか!と納得したけど、あまりにもありきたりでガッカリした(笑)。
Rosie O'DonnellもLance Bassも、自叙伝出版直前にカムアウトしてたなあ。

「どうしてメディアに公表しようと思ったんですか?」という質問に、奥さんのNancyさんは「(この話がどうせ公になるのであれば)自分達の口から話したかったからです」てな答え方をしてた。確かに、自叙伝を出版すれば、何処かのメディアが取り上げる可能性はあるだろうけど、ここまでデカいニュースにはならなかったんじゃないのかな。どうなんだろ、ちょっと満足に納得できるような回答じゃなかったんだけど、Oprahもそれ以上突っ込まないし、うやむやになったような気が。


それにしても、メディアの扱いはどれも「男が妊娠?!」っていう見出しで読者・視聴者をギョっとさせておいて、よく見たら「性転換した『女性』でした~」っつーオチ、な~んだ、「女」じゃん、という、低俗な面白おかしい仰天ニュースに仕立て上げられてしまってるというのは、本人が気の毒(多分心の準備はしてたと思うけど)。
しかも『Oprah』と『People Magazine』の独占インタビューだからねえ・・・。
まあ、現時点では妊娠したFTMがメディアに出るってことは、こういうことなのかも。
Beatie氏が相談したTG/TS団体がみな口を揃えて「メディアに出てくれるなと」警告したのも、こういうネガティブな反応やバックラッシュを恐れてのことだったんだろうしね。

でも、どうせすぐに忘れ去られる話だと思うよ、これ。

おまけ↓
『The Late Show with David Letterman』の「妊娠した男の留守電に残されたメッセージ トップ10」


⑩ 「避妊してるって言ってたよね?」
⑨ 「アンジェリーナ・ジョリーです。赤ちゃんを養子に貰いたいんですけど」
⑧ 「妻です。あなたの髭剃り借りていいかしら?」
⑦ 「モウリー(低俗なトークショーのホスト)です。あなたが子供の父親and/or母親であるかどうかDNA検査させてください」
⑥ 「ラルフ・ネーダーです。何年も自分とセックスしてるけど妊娠したことないですよ」
⑤ 「再びモウリーです。いつなら来れますか?」
④ 「4位は無し。脚本家がJetBlueの飛行機に滞ってるから。もう1年くらい経つんじゃない?」
③ 「マイケル・ムーアです。私も妊娠してるのかって訊かれます」
② 「ドクター・フィル(下世話なトークショーのホストで心理学者)です。お話ししましょう」
① 「マイケル・ジャクソンです。中性的な変態同士仲良くしましょう」

失礼極まりないだけに留まらず、全然面白くないんですけど。
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コメント

SAIさん、どうもです。

今回のBeatieさんのニュースについて、
実は僕もなるだけ自分の身体に負担をかけずにいきたいという点と、将来に子どもを持つ可能性を残しておきたいという点から、ホルモン治療を中断し、内摘の手術も踏みとどまっています。
正直ホルモンやSRSは、喉から手が出るほどしたいです。だけど色々と工夫しながら、できるところまで我慢してみようと決めました。
何年もこのことについて考えてきましたが、その過程で僕の悩みに対する様々な反応を目の当たりにしてきました。
ホルモンを打ってもらっていたクリニックの医者に中断することを相談した時は、
「本当のGIDは種の保存や寿命なんか考えない。
 一人だけが良い思いをする訳にはいかない。
 ホルモンを続けるか、女として生きるか選びなさい、産まれてくる子どもの幸せetc.等々」
といって、改名や胸オペに必要な書類を提供してくれませんでした。
何でも女として生きるのに、改名や胸オペは不要で、それらはリスクを負った人だけの特権だそうで。

その後大学病院で、運良く僕に理解のある先生に巡り会え、全て滞り無く進みましたが、今でもこれまで頂戴した反対意見の一部には首をかしげざるを得ません。
そんなにおかしいことかな??と。
もちろん人それぞれ意見があって当然なのですが、どうもこの件(FTMだけど子どもが欲しい)に関しては、快く思わない人々は攻撃的で、妨害的な気がするです。
その可能性を考えているだけでもこうでしたので、Beatieさんの場合、風当たりは相当なものでしょうね。

僕はクリニックの医者やFTM当事者からも、男じゃない。FTMでもない、男目指してるのに何でなどと言われてきましたが、こちらからしたら、男だからこそ問題なんだっという感じがあります。
中身が男で、身体がその全く逆だから、名前から何から多くの事で苦労しているんです。
子を持つことにしたって単純に、普通の男性と同じく、自分の子どもの父親になりたいと思っているだけで、しかも将来のいつかの話で、そのことを考える事は僕にとってはすごく自然なことです。
血のつながった子を持つ為にホル注やSRSを見送る事が、僕自身の性自認を揺るがすか、他人がどう言おうとやはりノーです。
思考の内容までは関係ないはずです。
男であるとかないとか、男は普通こうしないとかに疲れて、治療を進めないわけを聞かれてもはぐらかすようになってからは、気楽になりました(反対意見から収穫もありましたが)。
しかしいざその時には、もっと壮絶に周囲と相対しなければいけないんだろうかと思っているところへ、Beatieさんが強烈に先陣を斬ってくれました。僕自身が想定していたのは、妊娠ではなく人工授精まででしたからほんと強烈でした。

このニュースの関連を調べていくうち、色んな人の意見を読みながら目を開かされるようなものもありました。
Beatieさん自身に対して、日本では「矛盾している」といったFTM当事者の声もみかけます。
それに対して、SAIさんのブログに書いてある事は、良く整理されていて、的を得ていると感じます。

これは3年も前になりますが、先述の医者とのやりとりの直後に僕がうちひしがれている時、知り合いのMTFの方が、
「私たちは今迄これでもかこれでもかと型にはめられて、すごく苦しんできた。それでやっと、自分らしく生きようとしているところへ、今度は性同一性障害の型に入れようとされる。みんな型にはめるのが好きなのよ。だからこれからは、そういう人はもう放っときましょう。私は随分前に(SRSで)もう子どもが持てない身体になったけど、その可能性が考えられる今の若い人がうらやましい」とおっしゃっていました。
またBeatieさんに対して、「奥さんの苦痛を引き受ける為に、想像を絶する相当な覚悟をした旦那さんがいて、こんな幸せな事は無い」というFTMのパートナーさんの書き込みもありました。

このニュースを知って、第一声はさまざまだと思いますが、そこまでで終わらせずに自分と違う声を探してみれば、視野が広がるチャンスになると思います。長々と失礼しました。

mitchさん

いやいや、なんだか久々に長々と書いた割には中途半端な文章で、大変お恥ずかしいのですが(汗)、どうやら言いたいことは何とか伝わってるようなので、良かったです(笑)。

今回の件は、一般のメディアが意図的に紛らわしい取り上げ方をしたことで必要以上の反感を招いてしまったような気もするのですが、賛否両論様々な意見を見て思うのは、やはり長い目でみたら社会が円熟していく方向に沿っているのはBeatieさんやmitchさん側なんだろうな、ということですね。進歩はゆっくりかも知れませんけど、より多くの人が幸せを追求できる環境を作るには、たとえ自分とは意見が食い違う人に対してもその生き方に寛容にならなくちゃいけない、ってことがオトナな社会ほど常識になってきてるわけですから。

大変貴重なご意見、どうもありがとうございました。

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ややnewsworthyな話

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