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Sun 07/29/2007

 トランスの子供の『治療』 

ちょっと前に、ABCのドキュメンタリー番組『20/20』で放映された
トランスの子供達についての話、あれの続きみたいなもんなんだけど。

あそこで、第二次性徴開始と同時に性ホルモンの分泌を抑制して思春期を遅らせる薬についてチラッと言及されてたけど、それについてのちょっと詳しい記事が、二週間ほど前のSF Weeklyに掲載されてました。

Girl/Boy Interrupted
A new treatment for transgender kids puts puberty on hold so that they won't develop into their biological sex

By LAUREN SMILEY (July 11, 2007)
・・・長い記事なので、全文訳は勘弁してもらって、取り敢えず要約だけ。
それと、これ学術論文じゃないし、エラーもあるかも注意。

使用されるのはLupronという薬。
GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌を抑制する。
通常は前立腺癌、子宮内膜症、子宮筋腫など性ホルモンによって進行する病気の治療や
早発思春期に対して処方されるものらしい。
子供に対する投与で、第二次性徴を一時停止させる効果は可逆的である。
子供の場合、副作用は苛々や注射部位の腫れなど、比較的軽い(成人の場合は重い副作用もよくあるらしい)。
GID治療としての使用は適応外使用になるが、WPATHのガイドライン最新版でもLupronの使用が容認されている。

思春期のGID患者に対するGnRHブロッカー投与は、1986年にオランダの小児科医Henriette Delemarre-van de Waal氏が、臨床心理士からの紹介を受けてやってきた12歳のFTMに対して行ったのが事の始まり。
治療は患者の精神的苦痛の緩和に大変効果的で、17歳の時にテストステロン投与を開始、後にSRSも受けた。因みに彼は成績優秀で、現在は獣医師だそうな。

予後調査でも、16歳~18歳でホルモン投与を開始したGID患者は、そうでない者と比較すると後に受けるSRS後の満足度が高く、精神的な問題も少ない、という結果が。同時に、より若い患者が病院を訪れ、ホルモン治療を受けられる16歳まで待たなければならないことに苦痛を訴える。

そこで、アムステルダムジェンダークリニックでは7年前から世界で初めて若いGID患者に対するGnRHブロッカーの投与を普通の治療として開始。但し、
  ① 幼い頃から揺るぎのない性別違和がある
  ② 他に精神的問題が無い
  ③ 家族が協力的である
の3点が条件。

クリニックでは現時点で12歳から16歳のGID患者約60人に対してGnRHブロッカー治療を実施。うち約半数は早期に受診したため第二次性徴開始間もなく治療を開始することができた。
第二次性徴が半分くらい進んだ患者の場合、治療によりやや逆戻りさせ、それ以降の進行を停止させることができる。
GnRH投与を受けた患者全員が16歳の時点で性ホルモン治療を希望した(つまり「気が変わった」って子はいなかった)。

思春期前のGnRHブロッカー投与による利点は、思春期における精神的苦痛の大幅な緩和や、FTMの乳房切除等の手術が不要になるなどはもとより、後の性ホルモン投与が『白紙』の状態から始められるので、効果がより顕著で最終的な発達が生得男性/女性により近くなる、という点も大きい → 第二次性徴後のホルモン投与では期待できない骨の発育(顔や体の骨格、身長など)に対する効果も得られる(医師曰く、身長に対する影響は約13~18cm)

MTFの場合、本来はテストステロンの大量分泌によって促進される身長の伸びが回避され、陰茎と精巣のは思春期前のサイズが保たれ、声も低くならず、喉仏も出ない。顔の骨格も大人の男のようにゴツゴツにならない(クリニックでは3ヵ月毎に骨格に対する影響を観察するため写真を撮る)。

FTMの場合、本来はエストロゲンによって抑制される身長の伸びが進行する猶予が得られ(成長ホルモンの併用で更に伸ばすことも可能)、テストステロン投与開始によってさらにもうちょっと成長が促進される。

ただ、どの国でもGnRHブロッカーや性ホルモンによる治療が容易にできるるわけではない。
Lupronは非常に高価で、アメリカの場合、1ヶ月当たり約$500~$700(本日の為替レートで約6万~8万円)掛かる。
そのため、12~13歳のGID患者に対して思春期の性ホルモン分泌に対抗するべく直接「反対の」性ホルモン投与に踏み切る医師もいるらしいが、性ホルモンの効果は不可逆的なものも多い。

GID患者に対する早期介入に賛成する医師は増えつつあるものの、反対する専門家も多い。
■ ロンドンにあるTavistock Clinic内Gender Identity Development Serviceのチームは、患者が自分の性別違和に対してより詳しい情報に基づく判断が出来るようにという考えから、第二次性徴が完全に終了するまでは医療的介入をしない。同医療チームの小児精神科医Domenico Di Ceglie氏曰く、受診した若者の2割は、一旦第二次性徴が完了すると、医療的介入を希望しなくなるという。(←これ、トランスの『症状』をどこまで引っくるめての統計か、が問題だと思うけど、それについての言及は無い)
■ Di Ceglie氏は第二次性徴を人為的に遅らせることの長期的影響は未知であると警告、そして子供の脳の発達に重大な影響を及ぼし、性別に対する認識を変化させ得る第二次性徴を停止させる、という治療自体が患者の性同一性に影響を与え得ないかどうかという疑問が残るという。
更に、ロンドンのチームは治療によって骨密度が不足するのではないかと懸念するが、オランダの医師達によると、治療を受けた患者の骨密度は性ホルモン投与を開始すると標準に追いつくらしい(25歳までは骨密度をモニターする)。
■ イギリス・オランダの両チームの合意点は、性別違和を見せる子供の75~90%が最終的には体の性別と折り合いを付けることができるという調査報告があるように、このような治療を行うに際しては厳重なスクリーニングが不可欠である、ということ。
■ トロントにあるCenter for Addiction and Mental Healthの心理学者Ken Zucker(←注:この学者、評判がかなり怪しい曰く、「500人以上の性別違和のある子供をみてきたが、10歳の時点で性別違和がこのまま続くと確信が持てるような子供に出会ったことは無く、このような内分泌学的治療は一見クールだが、心理学セラピーで解消できる可能性を無視しがちである」
■ 当事者の間でも、早期の医療的介入によって様々な苦痛を避けることが出来ることは認めるものの、そのために『トランスジェンダーアイデンティティー』というものが無くなってしまうことを懸念する声もある。

結局のところ、『誤って患者の第二次性徴を一時停止させてしまうこと』と『GIDの早期治療をしないこと』のどちらがより悪いのか、という点が倫理的ジレンマである。
Penn State College of Medicineの小児科教授Peter Lee氏にはどちらがマシなのかが決まっている。20年前、第二次性徴による体の変化に対する深刻な苦痛を訴える若いFTM患者が最終的に自殺してしまったという経験があり、それとLupron治療を行い続けることによって、いずれは途中で気が変わる患者が出る、というリスクが天秤にかけられているのだ、と。


・・・要約と言いながら、結局長いじゃないか自分。
結構ツッコミどころ満載だけど(特に反対意見の辺り)、最小限に留めておきました(笑)。

薬とその使用に関してだけかいつまんだけど、当事者に対する取材もあるのね。
こういう論議を呼ぶ話に『本物の人間の顔』を付けることは大切だし。
メインは、サンフランシスコのレズビアンカップルの養子、Marty(仮名)。
1998年に生後11ヵ月で中国からカップルに引き取られた「女の子」。
ところが、2歳半になる頃にはドレス着用を拒否。
3歳までには立ちションをマスター。
6歳の時に受診した医者から、これは単なるお転婆(死語?)ではなくGIDだろうと伝えられる。
両親はトランスの子供とその親のためのサポートグループなどにも参加。
去年から新しい小学校で男児として通っている(学校の職員にはGIDであることが知らされている)。
が、Martyの脳内には『視床下部』という時限爆弾が・・・。
片方の胸にしこりが出てきた時、両親は急いで医者に連れて行く。
医者は、第二次性徴が進むのはもうちょっと後で、この状態のままで暫く続くかも知れないから、と、ちょっと様子を見ることに。
しかし遂にもう片方の胸にもしこりを発見し、Martyは「これ、何とかしなきゃ!」と両親に訴える。
両親は、サポートグループでLupronの話を耳にしていた両親は、医師と相談し、熟慮の末、Lupronをオーダーした
・・・というところで話は終わってる。

もう一人は、14歳のJuan(ホアン、仮名)。
彼は既に2年半のLupron投与を受けている。
平行して成長ホルモンを毎晩打っているが、それでも身長は母親よりちょっと高い157.5cm。
しかし、Lupronの効果で100%男の子としてパスしているし、
もし治療を受けてなければ今頃は胸も出て、身長も更に低かっただろう。
6年生から新しい学校に男児として通学。
母親は、トイレは保健室のを使うこと、そして職員にはGIDのことを知らせておくことを条件にした。
最初の頃は、うっかり性別を「F」と書いたり、自分の新しい名前に反応しなかったり、
ある時は学級名簿の性別欄が「F」になっているのを他の生徒に見つかったこともあったが、
担任の先生が機転を利かせて乗り切った。
社交的でおもしろく、顔も可愛いので、先生達がハラハラするほど女の子にモテモテらしい(笑)。
週末や休みになると、母親に連れられてトランスジェンダーのカンファレンスに主席し
自作の詩を朗読したり、トランスの子供達のパネリストとして壇上に上がったりする。
新学期からは高校生(注:アメリカのハイスクールは15歳から)、また新しい学校で新しい生活が開始する。5月に14歳になったJuanは、最初のテストステロン注射を受けた。
髭や声の変化もそう遠くない。

てなとこです。
でさ、このLupron、1ヶ月で$500~$700?高っけー!と思ってたら
昨日観たTVトランスの子供達特集やった同じ番組)で低身長の子の成長ホルモン治療の話しててさ、
成長ホルモンなんて、5~6日分で$1000(12万円くらい)だってよ!
でもそっちは保険がカバーすることも多いみたい。
GIDのLupron治療は、「トランス」って言葉を出さないでカバーさせちゃう医師もいるみたいだけど
(本当は違法行為だけどね、勿論)基本的に適応外。
MartyもJuanも、理解があって高給取りな親を持ったラッキーな例なわけだね。

こういう治療にちょっと懐疑的な一人の当事者の話としては、
「医療技術が発展を続ければいずれはトランスジェンダーというもの自体がこの世から消えてなくなるのか?トランジションを始めるのが若ければ若いほど、遺伝子上の性別で生活することが無くってことだよ」と。
え~、なんか主張がよくわからない・・・。
そもそも、早期の医療的介入に適していると判断される
2~3歳の頃から強烈な性別違和を主張してるような人って、
治療を受けずに望まない性の第二次性徴を経験して
後でホルモンや外科的治療を受けたところで
『トランスジェンダー』っていうアイデンティティーを持つものなのか?
持ったとしても、そこに思春期の苦悩や酷ければ自殺のリスクを負い
早期治療を受けていれば必要が無いような手術を受けてまで得るだけのメリットはあるのかな??
大体、『トランスジェンダー』なアイデンティティーを持ってる人間からすると、
こういう治療に適してる人が早期に治療を受けたところで
『トランスジェンダー』はこの世から消えたりしないんじゃないかと思うけどねえ。
(あ、でも「揺らぎ」のある人が『GID』として治療を受けるのは難しくなるかも?かも??)
このコメントの人も
「男出身、17歳からホルモンやって途中でやめて、29歳の今は男と女の間でまったり」
な人だしさぁ。
死にたいと思うほど苦しんでる子供に、そういう理由で治療するな、なんて言えねーべ・・・。
性的指向と違って、ハードコアなGIDは「無ければ無いに越したことはない」って種類のものだと思うけど。
だからこそ「障害」なわけだし。

ところで結構最初のほうに、FTM医師のNick Gorton氏の率直な一言が:
「もし身長が190cmでアメフト選手のように広い肩幅と低い声をしていたら、如何なる手術やホルモン治療を受けても[女性として]パスし、安全でいることは不可能です。もしそのような人が若いうちから治療を受けることができれば、25歳になった時に強姦され、殴られ、殺されなくても済むかも知れません」

実際、トランス、特にMTFを対象にした冷酷非道な犯罪は残念ながら珍しく無いからね・・・。
Remembering Our Dead http://www.gender.org/remember/about/core.html

ああぁ、長っ!
途中で消えたり書き直したり、ダラダラしてしまいました。失礼。
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